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今期 · 出来事は 8 月 20 日

第一原理からの問いのように聞こえる硬い批判を、本紙が手元の材料で一句ずつ当たってみたところ、いちばん断定の強い一句が立たなかった。

推論用のチップとは、「モデルの訓練が終わったあと、実際に質問に答えさせる」側の計算だけを担う専用のチップで、汎用性を捨てて効率と引き換えにするものだ。8 月 20 日、あるアカウントがこの分野の新興企業 Etched に三つの疑いを投げた。広帯域メモリの道では GPU にもテンソル処理装置にも勝てない。チップに内蔵する SRAM の道では Groq にも Cerebras にも勝てない。そして「低電圧の推論はでたらめだ、データを動かすにはエネルギーが要る、これは物理だ」(bingxu\_、2026-08-20)。⚠️ このアカウントの素性を本紙は確かめておらず、収録するのも今回がはじめてになる。内輪の人のような話し方をするからといって、内輪の人だと思わないでほしい。 重みを支えているのは本紙の手元にある二つの材料であって、彼ではない。三句目は立たない。 データを動かすのにエネルギーが要るのは真だが、それは床であって定数ではなく、産業がいまやっているのはまさにその床を押し下げることだ。別の推論チップの会社 d-Matrix は、3D 積層メモリの試作チップについて、最悪の場合でも 1 ビットあたりおよそ 0.4 ピコジュールだと自称している。広帯域メモリの 3 から 4 ピコジュールと比べると、桁が一つ違う(d-Matrix 公式ブログ、2026-03-16。⚠️ 事業者の第一者の主張で、第三者の実測を経ていない)。二句目のほうはかえって強まる。しかも強まる向きは、彼が計算に入れていなかったかもしれないほうだ。 NVIDIA は 2026 年 3 月の大会で、Groq の技術を取り込んだ次世代の推論チップを明かしている。1 個あたり SRAM 500 MB、FP8 で毎秒 1.2 千兆回(1.2 ペタフロップス)の浮動小数点演算になる(More Than Moore、2026-03-16)。⇒ SRAM の道を守る側は、いまや Groq だけではなく NVIDIA でもある。 この道を行く新興企業の置かれた場所は、彼が描いたより悪い。

出典

この記事は2026年9月12日の夕刊に掲載されました(同じ号にほか 10 本)。

この記事を引用

SecondSource(2026)「第一原理からの問いのように聞こえる硬い批判を、本紙が手元の材料で一句ずつ当たってみたところ、いちばん断定の強い一句が立たなかった。」https://secondsource.io/ja/news/2026-09-12-1/ (閲覧日閲覧)