SecondSourceAI産業の「判断」を届ける夕刊ブリーフ

エージェント実行用の CPU ラックは OCP で四社が出した——買い手がいま買っているのはラックではなく CPU の容量だ

SecondSource 深掘りレポート #41

本稿の要点

結論を先に書く。同じ OCP の会場でエージェント実行用の CPU ラックを出したのは、二社ではなく四社だった。買い手はすでに CPU を GPU と分けて買っている。ただし買っているのは容量で、ラック一式を買った例はまだない。当面のシェアを決めるのは、どの社がコアを出荷できるかである。

OCP(Open Compute Project)は、データセンター機器の規格をオープンに策定する団体だ。その年次大会 OCP Global Summit で、10 月 12 日に AMD が Helion ラックを発表した。構成の一つは CPU だけを積み、1 ラックで最大 32,768 コアになる。プレスリリースは、ハイパースケーラー向けに "dedicated capacity for agent execution and connections to separate model inference infrastructure"(エージェント実行専用の容量と、別建てのモデル推論基盤への接続)を提供すると書く。同じ日、NVIDIA は Vera CPU ラックの仕様を OCP に寄贈した。用途は "support tool calling, orchestration and sandboxed execution"(ツール呼び出し、オーケストレーション、サンドボックス実行を支える)とされ、訓練と推論を担う Vera Rubin NVL72 と役割を分ける。本誌は 10 月 13 日号で、この二つの発表をもとに一つの判断を書いた。以下では「元の判断」と呼ぶ。

10 月 13 日号の元の判断は三つの文からなる。

1. 「エージェントが CPU 需要を押し上げる」は、これまで Intel の決算説明会で語られる需要の話にすぎなかった。いまは競合の二社がそれをラック単位の製品にした。

2. 買い手はエージェント基盤の容量と電力の予算を二つの枠に分けることになる。一つはモデル推論の GPU、もう一つはエージェント実行の CPU である。

3. 二社の設計の売りは正反対で、AMD はコア密度、NVIDIA はシングルスレッド性能を売る。どちらが勝つかで、この層のシェアの行き先が決まる。

本稿はこの三文を一文ずつ検証し直した。結論は三層になる。

第一に、「二社」は数え違いで、始まりの時期も遅く見積もっていた。 同じ OCP で、Intel は 1 ラック 46,000 コア超・133.45 kW の Xeon 6+ ラック設計を展示した。Arm の AGI CPU を載せたシステムは、Supermicro と Verda からすでに発売されている。Arm はラックあたりの処理量の測定を Signal65 に委託した。独立した測定ではない。エージェント実行用の CPU ラックを製品にしたのは、二社ではなく四社である。この流れは 10 月に始まったものでもない。Arm は 3 月に AGI CPU を発表した。Meta は 4 月、AWS と数十億米ドル規模の複数年契約を結び、数千万個の Graviton5 コアを使うと発表した。目的は agentic AI を支える CPU 集約型の処理だと明言している。NVIDIA は 5 月末に Vera を発表し、CoreWeave は 9 月末に Vera ラックの貸し出しを始めた。OCP のこの日は、業界全体が同じ壇上で手札を見せた日であって、この層の起点ではない。

第二に、需要側ではすでに CPU を分けて買う動きがある。買っているのは容量だ。 Meta の Graviton5 契約は、公開情報の中で最大の「エージェント向け CPU」の調達である。Graviton5 は AWS が自社で開発し、AWS のクラウド上で提供する CPU だ。したがって Meta が手にしたのは AWS 上の計算容量になる。契約の具体的な形は、公開資料に書かれていない。Microsoft の Fairwater キャンパスでは、48 MW の CPU・ストレージ棟が 295 MW の GPU クラスターを支え、電力比はおよそ 1 対 6 になる。これは SemiAnalysis が現地取材で報じた一つの事例である。48 MW にはストレージも含まれ、CPU の分は切り分けられていない。NVIDIA の最初の Vera CPU システムは Anthropic、OpenAI、Oracle Cloud、SpaceXAI に届いた。台数は公表されていない。Helion の出荷は 11 月からだ。CPU はすでに別枠で調達されているが、エージェント専用に設計されたラック一式の買い手は、まだ公になっていない。

第三に、コア密度とシングルスレッド性能の対立は、運用データを見ると受け持ちの違いだった。 DeepSeek が 9 月に出したサンドボックス基盤の論文は、サンドボックス群を実際に運用した数値を公開した唯一の資料である。CPU ノード約 160 台・3 万コアで 1 日約 300 万個のサンドボックスを動かす。約 9 割のサンドボックスは、割り当てを申請した CPU 容量の 5% も平均して使っていない。1 ノードに 800 個の microVM を載せられる。これは一社の強化学習訓練用の機材群の数値で、密度とメモリに寄った負荷である。NVIDIA のシングルスレッドの論点は、別の部分を指している。エージェントの各ステップは前のステップに依存するので、1 ステップが速くないとループ全体が速くならない、という主張だ。NVIDIA はコアあたりの性能を x86 の 1.8 倍と自己申告している。Perplexity の自社テストでは、ワークフローが 1.5 倍、並列のサンドボックス起動が 1.9 倍速かった。ただし比較対象はどれも型番が書かれておらず、独立した測定もない。NVIDIA 自身も、Vera CPU ラックは 256 個の CPU と 400 TB のメモリという密度で売っている。二つの設計の考え方は、置き換え合うよりも補い合う面が大きい。本誌の読みでは、この層の当面のシェアは、どの社がコアを出荷できるかで決まる。Intel の第 2 四半期決算では、サーバーの出荷数量は 9% 増にとどまり、決算資料は市場の需要が供給できる製品を上回っていると記している。同じ期のサーバーの平均販売価格は前年同期比 48% 上がった。決算資料は、その大半が高価格帯の製品構成によるものだとしている。報道によれば、Intel の CEO は 9 月、顧客の CPU 需要の約半分しか満たせていないと述べた。

本稿が調べた範囲は、各社のプレスリリースと製品ページ、Intel の 10-Q(四半期報告書)、arXiv の論文、各社とパートナーのブログ、そして SemiAnalysis、TrendForce、Futurum などのアナリストの報告である。以下で「ない」「唯一」と書くときは、すべてこの範囲の中での話だ。

なぜ重要か:エージェント実行に使う CPU を、買い手はすでに別枠で買っている。しかも専用ラック製品より半年早く始まっていた。本誌の読みでは、この層の当面のシェアを決めるのは、どの設計が優れているかではなく、どの社がコアを出荷できるかである。

本稿が誤りだったと認める結果も先に書いておく。2027 年 6 月末までに、AMD の四半期決算のプレスリリースに Helion の CPU 専用ラックを顧客に展開したという記述が一度も出なければ、「エージェント用ラックは独立した製品層だ」という判断は、サプライヤーの言い分の段階まで格下げする。

OCP の同じ日に、四社がエージェント実行用の CPU ラックを出した

元の判断が数えた二社は AMD と NVIDIA だった。同じ週の発表を並べると、四社になる。

社製品1 ラックの規模(自己申告)位置づけ時期
AMDHelion の CPU 専用構成(第 6 世代 EPYC)最大 32,768 コア"dedicated capacity for agent execution and connections to separate model inference infrastructure"2026 年 11 月出荷予定
NVIDIAVera CPU ラック(MGX 仕様を OCP に寄贈)最大 256 個の Vera、22,528 コア、LPDDR5X 400 TB"support tool calling, orchestration and sandboxed execution"、NVL72 と役割分担最初のシステムを 4 社に納入済み
IntelXeon 6+ ラック設計(ORv3)一部の構成で 1 ラック 46,000 コア超・133.45 kW企業向けのエージェント開発キット「Intel AI for Enterprise Agent Toolkit」が今日から Xeon で使えるとする展示段階
ArmAGI CPU のシステム(Supermicro、Verda など)1 個 136 コア。Arm の委託で Signal65 が測り、24 kW のラックあたりの処理量は EPYC 9755 の 1.99 倍としたagentic AI 向けの基盤と位置づけるシステムは発売済み

四社が名指す買い手も違う。AMD のプレスリリースはハイパースケーラーを向いている。NVIDIA の最初のシステムはフロンティアラボと Oracle Cloud に渡った。Intel が売り込むのは企業向けのエージェント開発キットだ。Arm は Supermicro や Verda のようなシステムメーカー経由で出荷する。

売りは四社四様だが、ラック単位で前面に出している仕様はどれも密度、つまりコア数、ラックあたりの電力、ラックあたりのメモリである。これは仕様表の数字であって、買い手が密度で選ぶという意味ではない。AMD の Helion には高クロックのノードもある。Arm のラックの倍率にもシングルコア性能が入っている。元の判断は NVIDIA をシングルスレッド路線として描いたが、それはチップ単位での NVIDIA の主張だ。ラック単位になると、NVIDIA も 256 個の CPU と 400 TB のメモリで売っている。

第 6 世代 EPYC のコードネームは Venice である。AMD はこれとは別に、次世代の「agentic CPU」Verano を初めて見せた。TechTimes の報道によれば、展示されたシリコンは 32 コアのチップレット 6 個で、最大 192 コア、24 チャネルの LPDDR5X でメモリ帯域は約 2.9 TB/s、2027 年上半期の量産を目指す。AMD のプレスリリース自体は仕様を載せていない。AMD のサーバー事業を率いる Dan McNamara 氏は、こう述べている。

"Agentic AI is not a single workload. It spans personal agents, enterprise applications, code execution and complex workflows, each with different compute requirements."

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(要旨:agentic AI は単一の負荷ではない。個人のエージェントから企業アプリ、コード実行、複雑なワークフローまでにまたがり、それぞれ必要な計算資源が違う。)

この発言どおりなら、この層の設計の考え方は一つに収まらない。

時系列で見ても、この流れは 10 月より前からある。Arm は 3 月 24 日に AGI CPU を発表し、Meta を共同開発のパートナーとした。4 月末に Meta は AWS と契約した。NVIDIA は 5 月 31 日に Vera を発表し、導入を検討している顧客として NYSE、Anthropic、OpenAI、SpaceXAI、ByteDance、CoreWeave、Lambda、Nebius、Nscale、OCI を挙げた。7 月には Perplexity がサンドボックス基盤と Vera の測定結果を公表した。9 月 30 日、CoreWeave が Vera ラックの貸し出しを発表した。OCP では、四社が同じ日に、それぞれの版を同じオープン規格の場に載せた。供給側のこの層は、それ以前に形ができていた。

需要側:別枠の調達は始まっているが、買われているのはクラウドの CPU 容量だ

供給側の顔ぶれが四社なら、次の問いは誰が買っているかである。元の判断は覆す条件を二つ置いていた。一つは、2027 年上半期までにどのハイパースケーラーも CPU だけのエージェント用ラックを公に調達しないこと。もう一つは、主要なエージェント基盤がサンドボックス実行を汎用クラウドの CPU 群に置いたままにし、専用ラックを別に買わないことだ。調べると、どちらも部分的にしか当てはまらない。CPU の調達はすでにある。ラック一式という品目には、公になった買い手がまだいない。

すでに別枠で買っている例:

  • Meta と AWS。 4 月末、両社は複数年・数十億ドル規模の契約を発表し、Meta は数千万個の Graviton5 コアを導入するとした。Meta のインフラ責任者 Santosh Janardhan 氏は、この契約で agentic AI を支える CPU 集約型の処理を、Meta の規模に見合う性能と効率で動かせるようになると述べた。Amazon の Jassy CEO も第 1 四半期の決算説明会でこの契約に触れている。公開情報の中で、「エージェントのために CPU を買う」最大の案件である。
  • Microsoft の Fairwater。 SemiAnalysis は 2 月の現地取材記事で、48 MW の CPU・ストレージ棟が 295 MW の主 GPU クラスターを支えていると報じた。電力比はおよそ 1 対 6 である。同じ記事は、フロンティアラボの強化学習訓練が CPU 不足に陥り、汎用の x86 CPU サーバーをめぐってクラウド事業者と直接競合しているとも書いている。強化学習の訓練をするラボが CPU を求め、クラウド事業者と同じ x86 サーバーを奪い合っている、という構図だ。
  • NVIDIA Vera の初回納入。 NVIDIA の製品ページの図の説明には、最初の Vera CPU システムを Anthropic、OpenAI、Oracle Cloud Infrastructure、SpaceXAI に納入したとある。CoreWeave は 9 月末に Vera ラックの貸し出しを発表した。1 ラック 128 個の CPU・11,264 コアで、11,000 を超える並列環境を動かせるという。CoreWeave はこの種の負荷の形も説明している。ループの一つのステップが数千の環境を 1 時間動かし、次のラウンドまではほとんど何も要らない、というものだ。負荷は短時間の山で、山と山の間はほぼ遊んでいる。
  • Perplexity。 7 月に公開したサンドボックス基盤の記事によれば、直近 1 週間で数百万回のサンドボックス作成と数千万回の再接続をこなした。タスクはそれぞれ一つの Firecracker microVM の中で動く。CEO は 10 月 3 日、Perplexity Computer の Vera への展開を始めると投稿した。狙いは "own our sandboxes, and optimize the sandbox for the best silicon"(サンドボックスを自前で持ち、最良のシリコンに合わせて最適化する)ことだという。

まだ起きていないこと: 「エージェント用ラック」という品目を買ったと公に述べた買い手はいない。Meta が手にしたのは AWS 上の計算容量で、Fairwater の建物は CPU とストレージの棟である。NVIDIA は最初のシステムを納入したが、台数を公表していない。Helion の出荷は 11 月からだ。元の判断は「別枠で調達される CPU ラック」と書いたが、より正確には「別枠で調達される CPU 容量」である。ここで言う容量は CPU コアと電力のことだ。クラウドから借りても自前で建ててもよく、ラックの種類は問わない。ラック一式はその包み方の一つにすぎず、公になった買い手はまだいない。

この層の供給構造は、アクセラレーターの層と同じ形をしている。ハイパースケーラーはまず自社開発の CPU で自社の負荷をこなす。Graviton、Cobalt、Axion がそれにあたる。そのほかの顧客には、AMD、Intel、NVIDIA、Arm という外販のチップメーカーが売る。Meta は AWS から Graviton5 の容量を買う一方で、Arm AGI CPU の共同開発者でもあり、両方の道を進んでいる。

GPU 汎用アクセラレーション(2012-)どんな新アーキテクチャも動く=研究の反復速度
TPU が先陣を切る(2017)ワークロードが固定なら、特化で一桁省ける
ハイパースケーラーが全面的に自社開発(2023-)自社推論でテープアウト費用を償却+価格交渉から脱する

併存 ⇄

並行する経路GPU 汎用路線:何でも動く既定の選択肢

本稿とこのトレンドの関係: このトレンドはもともとアクセラレーターの層の話だった。訓練は GPU に残り、クラウドが自社で使う推論は自社開発チップに移る。エージェント実行の層が現れたことで、同じ境界線が一段下まで延びた。自社の負荷が固定で量も十分なクラウドは自社開発の CPU を使い、それ以外は外販の CPU を買う。このトレンドの元の判断は変わらない。

コア密度か、シングルスレッド性能か:運用データでは受け持ちが分かれる

買われているのが容量だとすると、その容量にどんな CPU が向くのかが次の論点になる。元の判断は一つの対立を残していた。AMD は 32,768 コアの密度を売る。NVIDIA の CEO は、エージェントのループに要るのは最速のシングルスレッド CPU であり、クラウドがコアを多く貸し出すために設計した CPU は方向を誤っていると主張する。どちらの設計の考え方が正しいかで、この層のシェアの行き先が決まる、というものだ。本稿はこの対立を二種類のデータで確かめた。

サンドボックス群の実測値は密度の側に寄る。 DeepSeek は 9 月 19 日、arXiv に DSec(DeepSeek Elastic Compute)の論文を出した。大規模なエージェント訓練のためのサンドボックス基盤の論文である。サンドボックス群の規模の数字を公開した資料はこれしかなく、それも一社が自社の強化学習訓練に使う機材群の数字だ。論文の要旨はこう書く。

"A single production-scale unit of DSec spans around 160 nodes, serving about 3 million sandboxes per day; in production, it supports over 380,000 concurrent sandboxes and sustains over 5,000 sandbox creations per second."

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(要旨:本番規模の 1 単位は約 160 ノードで、1 日約 300 万個のサンドボックスをさばく。本番では 38 万を超えるサンドボックスを同時に動かし、毎秒 5,000 回を超えるサンドボックス作成を維持している。)

論文によれば、基盤全体は CPU ノード 160 台弱・3 万コア・DRAM 約 250 TB である。論文は別の数値も示す。容器型と microVM 型のサンドボックスの約 90% は、申請した CPU 容量の 5% 以下しか平均して使っていない。申請容量とは、各サンドボックスがスケジューラーにあらかじめ求める CPU の割り当てのことだ。1 ノードには microVM なら 800 個、コンテナなら 3,200 個を載せられる。ノードは標準的な 2 ソケットの x86 サーバーで、コア数の多い AMD EPYC 9655 を使う。本誌の読みでは、この負荷の上限を決めているのはメモリと、隔離された環境をいくつ詰め込めるかであって、1 コアの速さではない。CoreWeave が説明した、数千の環境が 1 時間動いたあとほぼゼロになる負荷も、同じ形をしている。

シングルスレッドの論点は、別の部分の話をしている。 NVIDIA は 7 月のブログで Vera を "max single-threaded CPU at scale"(大規模に並べても最高のシングルスレッド性能を出す CPU)と位置づけた。エージェントの各ステップは前のステップの結果に依存し、"per-core speed determines how fast the loop advances"(コアあたりの速さがループの進む速さを決める)という論点である。コアを増やしても、1 ステップは短くならない。NVIDIA は、エージェント型の負荷でコアあたりの持続性能が x86 の 1.8 倍だと自己申告している。Perplexity は自社テストで、実際の Computer 型のワークフローが現行の本番環境の基準より約 1.5 倍速く、並列のサンドボックス起動は最大 1.9 倍速いとした。CoreWeave は、サンドボックスの起動速度が x86 CPU 1 個の 3 倍だと自称している。この三社の数字は、同じものを測っていない。1.8 倍はコアあたりの性能、1.5 倍はワークフロー全体、1.9 倍と 3 倍はサンドボックスの起動速度だ。起動速度が何に縛られているかを分解した資料はなく、シングルコアの速さで決まるとは限らない。三社の数字には共通の穴がさらに二つある。比較対象の型番がどれも書かれていないこと、数字がすべてサプライヤーかそのパートナーから出ていることだ。AMD も、Helion のノードはコアあたりの性能が NVIDIA の 88 コアの Vera より 20% 高いと自称している。アナリスト企業 Futurum の Brendan Burke 氏は、AMD が 7 月に出したワットあたりのエージェント数の比較について、スレッド数と定格電力から理論上の負荷で計算した算術だと指摘した。どちらも自己申告で、比較の基準も違う。どちらも独立した証拠にはならない。

置き換えより補完。 Burke 氏は 6 月の COMPUTEX の後、こう判断している。二つの agentic CPU の論点はエージェントのライフサイクルの別々の点を狙っており、これらのチップは置き換え合うより補い合うことになる可能性が高い。Intel の Xeon 6+ は企業向け推論の密度と並列性に、NVIDIA の Vera はオーケストレーションの速さと強化学習の小刻みなサンドボックスループに最適化している、という見立てだ。本稿の推論もこれと一致するが、確信は高くない。サンドボックスのホスティングは密度で決まる。ここは DSec の数値が支える。エージェントのツール操作は一歩ずつ進む。次の一歩は前の一歩の結果を待つので、コアをいくら増やしても並列にはできず、1 ステップの遅延はシングルコアの速さで決まる。こちらの半分は NVIDIA の論点で、今のところ自己申告の数字しか支えがない。二つは同じデータセンターの中に並び立ちうる。元の判断はこれを「どちらが勝つかでシェアが決まる」と書いた。だが公開された運用データの中に、買い手が二つのうち一つを選んだ調達の決定は見当たらない。

この推論には三つの限界がある。DSec は一社の強化学習訓練という場面にすぎない。オンラインのエージェント製品でのサンドボックスの利用率は、まだ誰も公開していない。「申請容量の 5%」の分母は申請量で、利用率が低いのは申請しすぎのせいでもありうる。そして、同じ負荷で二つの設計を比べた独立の測定は、まだ一つもない。

当面のシェアは、誰が出荷できるかで決まる

設計の考え方が買い手の判断材料でないなら、何が判断材料なのか。いまの答えは供給である。

Intel の第 2 四半期の 10-Q(期末は 6 月 27 日)はこう記している。サーバーの売上が増えたのは、平均販売価格がそれぞれ 48% と 38% 上がったためである。サーバーの平均販売価格の上昇の大半は、第 2 四半期と年初来に売れた高価格帯の製品構成が増えたことによるもので、需要に応じた値上げの寄与は小さい。サーバーの出荷数量は前年の第 2 四半期より 9% 増え、主因はハイパースケーラーの需要の高まりである。社内の供給制約のため、市場の需要が供給できる製品を上回っている。報道によれば、Intel の Lip-Bu Tan CEO は 9 月の Splunk の年次イベントで、顧客の CPU 需要の約半分しか満たせていないと述べた。同じく報道によれば、Intel は 2026 年の設備投資を 200 億ドル超に引き上げた。SemiAnalysis は 2 月の時点で、Intel が CPU 在庫の想定外の枯渇に直面し、Xeon 全製品の値上げを検討していると書いていた。TrendForce は 9 月末の報告で、Intel と AMD が第 1 四半期末に一部の CPU 製品の価格を引き上げたとしている。10 月に台湾メディアが報じた新たな値上げは、主に Intel と Qualcomm の PC 向けプロセッサーで、AMD も価格改定を準備していると報じられた。この波は PC 向けで、サーバー向けではない。

供給のボトルネックという読みを支えているのは、出荷数量が 9% しか増えていないことと、10-Q が需要は供給できる製品を上回ると書いていることだ。平均販売価格の 48% 上昇を、すべて品不足による値上げとみなすことはできない。10-Q は、その大半が高価格帯の製品をより多く売ったためだとしている。AMD は 2030 年のサーバー CPU 市場の予測を 2,000 億ドル超に上方修正した。Helion の出荷は 11 月から、Verano の量産は 2027 年上半期だ。NVIDIA は、Vera のシステムが今秋からシステムメーカーとクラウドのパートナーを通じて供給されるとしている。Arm の AGI CPU システムは発売済みだが、名前の出た顧客はいない。本誌の読みでは、2026 年下半期から 2027 年上半期にかけては、生産能力を持つ社がシェアを取る。この読みの裏付けは、今のところ Intel 一社のデータだけである。設計の優劣が実測で比べられるのは、2027 年末になる。そのころには AMD の Venice と Verano、NVIDIA の Vera、Intel の Xeon 6+ が同じソケットを奪い合う。

比率の数字も、同じ物差しで読む必要がある。TrendForce は、いまの AI データセンターの CPU 対 GPU 比はおよそ 1:4〜1:8 で、将来は 1:1〜1:2 の間に移ると予想している。Arm は、1 GW あたりの CPU コア数が 3,000 万から 1.2 億に増えると見積もる。Intel の CEO は 1 月、かつては 1 対 8、いまは 1 対 4 で、同等かそれ以上に向かうと考えていると述べた。どれもサプライヤーかアナリストの推計で、個数・電力・コア数という異なる単位が混ざっている。公開資料で実際のキャンパスの事例は Fairwater しかなく、電力比はおよそ 1 対 6、しかもストレージを含む。これは電力の比であり、上の個数ベースの比とは分母が違うので、そのまま比べることはできない。

これは誰にとって何を意味するか

  • 容量と電力: Meta と Microsoft は、エージェント実行に使う CPU を GPU と分けて調達している。元の判断はこの点では正しかった。規模の目安になる公開事例は二つしかない。Fairwater の電力比およそ 1 対 6 と、DSec の 1 ノードあたり 800 個の microVM だ。サプライヤーが言う 1 対 1 は推計である。2026 年下半期から 2027 年上半期にかけて、この枠の調達を縛るのは納期である。
  • CPU サプライヤー: Intel は供給が需要に追いつかず、出荷数量は 9% 増にとどまる。それで競合がシェアを得たかどうかは、AMD と Arm の需給の一次データが手元にないため判別できない。四社がラック単位で前面に出す仕様は、どれも密度である。設計の優劣が実測で比べられるのは 2027 年末になる。
  • エージェント基盤とサンドボックス: サンドボックスのホスティングの経済性は、密度とメモリで決まる。DSec では 9 割のサンドボックスが申請した CPU 容量の 5% も使っていないが、これは一社の強化学習訓練用の機材群の数値である。シングルスレッド性能の価値は、逐次的なツール操作と強化学習のループに集まる。エージェント基盤の中で、サンドボックスを Vera に移すと公に述べたのは今のところ Perplexity だけで、規模は示されていない。
  • 次の決算で見る数字: agentic CPU というテーマのサプライヤーは、AMD と NVIDIA だけでなく四社ある。直近の数字は二つだ。一つは 10 月 29 日の Intel 第 3 四半期決算で、サーバーの出荷数量と価格の内訳。もう一つは、Helion が 11 月に出荷された後、AMD の四半期決算のプレスリリースに顧客への展開の記述が出るかどうかである。

本誌の見立て

エージェント実行の層の CPU は、GPU 推論のラックから切り離され、別に調達される CPU 容量になりつつある。10 月 12 日の OCP の大会では、AMD、NVIDIA、Intel、Arm の四社がそろってエージェント実行用の CPU ラックを出した。本誌の 10 月 13 日号が記録したのは、そのうち前の二社だけだった。四社がラック単位で前面に出す仕様は、どれも密度である。需要側では、すでに別枠で買う動きがある。Meta は AWS から数千万個の Graviton5 コアを買った。SemiAnalysis の報道によれば、Microsoft の Fairwater は 48 MW の CPU・ストレージ棟に 295 MW の GPU を組み合わせている。買い手が買っているのは CPU 容量で、エージェント専用に設計したラック一式を公に買った例はまだない。AMD の Helion は 11 月に出荷が始まり、NVIDIA の Vera ラックは最初のシステムを納入しただけだ。コア密度とシングルスレッド性能のどちらか一方を選ぶ根拠は、いまのデータにはない。DeepSeek のサンドボックス論文 DSec は一社の強化学習訓練用の機材群の数値で、9 割のサンドボックスが申請した CPU 容量の 5% も使っていない。これはサンドボックスのホスティングが密度で決まることを支える。シングルスレッドの側には、サプライヤーかそのパートナーの自己申告の数字しかなく、比較対象はどれも型番が書かれていない。本誌の読みでは、二つの設計は置き換え合うより補い合う。2026 年下半期から 2027 年上半期にかけて、この層のシェアはどの社がコアを出荷できるかで決まる、というのが本誌の読みである。根拠は Intel 一社しかない。サーバーの出荷数量は 9% 増にとどまり、決算資料は需要が供給できる製品を上回ると書き、報道によれば CEO は需要の約半分しか満たせないと述べた。同じ期の Intel のサーバー平均販売価格は前年同期比 48% 上がり、決算資料はその大半が高価格帯の製品構成によるものだとしている。

これから見るべき数字

1. 10 月 29 日の Intel 第 3 四半期決算で、サーバーの出荷数量と平均販売価格の内訳。 出荷数量の伸びがはっきり加速するか、決算資料が供給不足を書かなくなれば、供給のボトルネックは緩みつつある。出荷数量の伸びが一桁のままなら、第 4 節の判断は続く。

2. AMD のこの先数四半期の決算プレスリリースに、Helion の CPU 専用ラックを顧客に展開したという記述が出るか。 「エージェント用ラックは本物の製品層だ」を最も直接に試す数字で、下の覆す条件の 1 番目にした。

3. 同じエージェントの負荷で Vera、Venice、Xeon 6+、AGI CPU を比べた独立の測定が一つでも出るか。 それまでは、第 3 節のシングルスレッドの倍率はすべて自己申告として扱う。

4. オンラインのエージェント製品(強化学習の訓練ではないもの)のサンドボックスの CPU 利用率が公開されるか。 DSec の数値より明らかに高ければ、第 3 節の「サンドボックスのホスティングは密度で決まる」は範囲を狭める。

この判断を覆す条件

以下の三つは、いずれも検証期日を 2027 年 6 月 30 日とする。期日と閾値は、本誌が独自に設けた観察の枠である。

1. 期日までに、AMD の四半期決算のプレスリリースに、Helion の CPU 専用ラックをどこかの顧客に納入または展開したという記述が一度も出ない。 本稿の「供給側の切り分けは業界全体の動きで、製品層が形になりつつある」は「サプライヤーの言い分」まで格下げする。元の判断の第 1 文「エージェントが押し上げる CPU 需要はラック単位の製品になった」も、本稿第 1 節の読みとともに撤回する。

2. 独立した第三者が同じエージェントの負荷で測り、結果が次の二点を同時に満たす。Vera のコアあたり、または 1 ステップあたりの速さが比較対象の CPU の 1.5 倍以上であること。密度型の CPU にサンドボックスのホスティングで見合う優位がないこと。 第 3 節の「置き換えより補完」は成り立たず、元の判断の「シングルスレッド路線が勝つ」が復活する。

3. Intel の第 3 四半期か第 4 四半期の決算で、サーバーの出荷数量の伸びが前年同期比で二桁に戻り、決算資料が需要は供給できる製品を上回ると書かなくなる。同時に AMD と Arm も供給不足を報告していない。 第 4 節の「当面のシェアは供給で決まる」は成り立たず、設計の優劣が前倒しで買い手の判断材料になる。


本記事は日本語版・英語版・中国語版と同一の調査と判断にもとづいて書かれています。出典にはリンクを付け、原文書と報道を区別し、確かめられなかった点を明記しています。

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