SemiAnalysis の推計では、合意どおり仮設タービンを撤去すると、SpaceX のメンフィス拠点の現地発電は来年 7 月に半分未満へ下がる

AI インフラを追う調査会社 SemiAnalysis は 11 月 3 日、環境当局との合意で仮設タービンを撤去するため、SpaceX のメンフィス拠点の現地発電能力は、来年 7 月に 2.7 GW から 1.24 GW へ下がると推計した。本紙の推論:来年 7 月以降、メンフィス拠点の計算能力を決めるのは建設の速さではなく、送電網からの給電と蓄電池だ。
SemiAnalysis によれば、SpaceX はデータセンターを業界より速く建てる。業界では新しいデータセンターの完成に通常 8 から 12 か月かかるが、SpaceX は工期を半分に縮めた。既存の工場の改修はさらに速い。メンフィス都市圏の南、ミシシッピ州 Southaven にある Colossus 2 は改修 91 日で 210 MW を立ち上げ、最初の Colossus 1 は改修に 122 日かけて 150 MW だった(SemiAnalysis、2026-11-03)。SpaceX は 2027 年の計算能力の見通しを約 13 GW に引き上げた。これは全拠点の合計で、SemiAnalysis の紹介による数字である。
Colossus 2 の拠点で現地の発電は、今年 8 月から減り始めた。SpaceX の AI 事業 SpaceXAI は 7 月 30 日、ミシシッピ州環境品質局と合意したと発表した。Southaven の発電所にある仮設ガスタービン 69 基は 2026 年 8 月から撤去を始め、2027 年 7 月までにすべて撤去する。代わりに使うのは、3 月に認可された固定タービン 41 基、約 1.2 GW の恒久発電所だ(WLBT、2026-07-31;WREG、2026-07-30)。SemiAnalysis はこの合意に法的拘束力があるとし、制約を数字に置き換えた。同社の推計では、現地でいま合法的に動かせる定格発電容量は 2.7 GW で、2027 年 7 月からは 1.24 GW しか残らない。
送電網で埋められるのは一部にとどまる。SemiAnalysis はテネシー川流域開発公社(TVA)の記録を引き、Colossus 2 の拠点にあるデータセンター棟 Macrohard と MiniHard の二棟が、合わせて 1.15 GW の系統からの給電を申請したとする。接続先の変電所は 12 月 31 日に完成する予定だ。SemiAnalysis は、この 1.15 GW がすべてつながると仮定する。それでも、現地ではなお 300 MW 以上が足りない可能性があると推計する。同社は、不足分はおそらく埋まるとみる。手段は二つある。一つは 6 GWh 近い蓄電池である。もう一つは給電の優先順位づけで、電力が足りないときは自社モデルの訓練を先に絞り、外部向けのサービスを守る。
Musk 氏は、電力の制約について別の見方を示す。Musk 氏は 10 月 20 日の決算説明会で、SpaceX がロケットエンジン用の鋳造工場でガスタービンの羽根を作るので、他社より 12 から 18 か月早く電力をつなげると述べた。この発言は、決算説明会の要約をまとめるアカウント Fireside Alpha の紹介によるもので、Groq 幹部の Sunny Madra 氏が転載した(Sunny Madra 氏の転載、2026-10-20)。
まだ言えないこと: 定格容量と不足分の数字は SemiAnalysis 一社の推計だけ どう確かめたか →
次に注目するのは、12 月 31 日に変電所が予定どおり完成し、1.15 GW の系統からの給電がつながるか、そして Colossus 2 の拠点の中央にある、Project SPAM と呼ばれる棟が目標どおり 12 月に稼働するかである。この読みを覆す条件は二つある。一つは、ミシシッピ州環境品質局が来年 7 月までに合意を延長すること。もう一つは、来年 7 月の時点で拠点が待っているのが電力ではなく、まだ完成していない建屋であることだ。
出典と検証
この記事は2026年11月4日の夕刊に掲載されました(同じ号にほか 10 本)。確認の経緯、引用の照合、その日に確認できなかった資料は、その号の本日の検証にあります。
この記事を引用
SecondSource(2026)「SemiAnalysis の推計では、合意どおり仮設タービンを撤去すると、SpaceX のメンフィス拠点の現地発電は来年 7 月に半分未満へ下がる」https://secondsource.io/ja/news/2026-11-04-1/ (閲覧日閲覧)