夕刊 2026年11月6日
METR 推定:Anthropic 約二倍、証拠の大半非公開

今号の要点
1. AI の能力を評価する機関 METR は、明確に定義されたタスクで Anthropic モデルの能力が伸びる速さを、今年 10 月時点で約二倍と推定した。比べる相手は 2024 年 3 月から 2025 年 10 月までの速さで、これは主観的な推定である。なお METR の評価報告は、Anthropic 自身の安全基準を個別には扱っていない。その基準は、AI の大きな貢献がない場合の二倍の速さを求めるものである。METR によれば、Anthropic は公開版に、METR が最も有用とみた証拠の大半を載せなかった。
2. OpenAI は今後の自社所有・自社運営の拠点について、電気代の全額負担と水・電力使用量の公開を約束し、大口需要家に新たな送電網の費用を負わせる規定を各州に求めた。提携先の拠点は約束に含まれない。
3. OpenAI の自社テストでは、指定した脆弱性を悪用できるかを測る ExploitGym のスコアは GPT-6 Cyber が 48.5%、前世代の GPT-5.6 Cyber が 32.1% だった。評価会社 Irregular の三つのテストでは、Cyber と汎用モデル Astra の優劣はテストによって分かれた。
ほかに中核 4:Lambda のアラバマ州の拠点。
今日の中核
1. METR は Anthropic モデルの能力の伸びが過去の約二倍だと推定し、最も有用とみた証拠の大半を同社が公開版に載せなかったと書いた

本紙の推論:METR が最も有用とみた証拠の大半が公開版に載らなかったため、Anthropic のモデルを外部から評価する組織は、研究開発の加速が同社の安全基準を超えたかを知るのに当面 METR の判断に頼るしかない。
Anthropic が 7 月 15 日に基準を超えたかを自己評価した内容について、8 月のリスク報告の公開版は非公開版より言い切っている。
Anthropic は非公開情報を公開版から一方的に省く権限を持つため、これらの倍率は公開資料からは計算し直せない。
2. OpenAI は自社拠点が地元に負う条件を文書にまとめ、大口需要家に送電網の費用を負わせる規定を各州に求めたが、提携先が持つ拠点は約束の外にある

本紙の推論:青写真の条項が各州で規定になれば、案件の中止で残る送電網の費用を開発事業者はみな先に見込むことになる。
OpenAI はまず、地元の同意と引き換えに出す条件を具体的に書いた。
OpenAI は次に、これらの条件を OpenAI 以外にも及ぼすよう求める。
OpenAI が単独で約束しても、費用を負うのは OpenAI だけである。
3. OpenAI は GPT-6 Cyber を公開し、発表は多くのセキュリティ課題で GPT-6 Astra を上回るとするが、システムカードが引く評価会社 Irregular のテストの一つでは Astra がわずかに高い

4. GPU クラウドの Lambda はアラバマ州の拠点への入居を発表し、投資額は自己申告の推計で 331 億米ドルだが、電力供給は規制当局の承認待ちである(出来事は 11 月 4 日)

チップと半導体
1. NVIDIA は HBM の容量をほとんど増やさなくても推論を増やせると主張する。同じ日の記事二本は Rubin の性能を GB300 の最大 30 倍とするが、片方はドルあたり、もう片方はメガワットあたりである。

2. Microsoft の自社テストでは、Cobalt 200 でチップ設計ソフトを動かすと、設計のシミュレーションを担う Xcelium の論理コアあたりスループットが Cobalt 100 の 4.15 倍になった。

目利きの読み
1. Ryan Greenblatt 氏は、AI ソフトウェア研究開発の速さがすでに AI 自動化がまったくない場合の約 4.5 倍だと粗く推定し、今年は 1.15 倍から 1.3 倍とみていた予想は誤りだったと書いた。

2. Financial Times のチーフデータ記者 John Burn-Murdoch 氏は、多くの人が AI の効果の証拠に挙げる生産性のグラフは同氏が作ったもので、もともと、AI の効果を示すという説に反論するためのものだと述べた。(11 月 1 日)

研究とモデル
1. Anthropic は研究に関する対話 20.7 万件を分析し、現在の能力が普及すれば、一定の予算で研究成果はコンピュータサイエンスで約 1.96 倍、芸術で約 1.35 倍になると推算した。

2. プレプリントの要旨によると、著者が自作した金融向けの評価 FINCOSMOS は、15 の検査に通り、かつ模擬ユーザーを満足させた実行だけを合格とする。四つのコーディングエージェントとツールなしのモデル一つを 150 回走らせたが、合格はなかった。(arXiv 2611.07464、2026-11-05)

3. Mira Murati 氏が創業した AI モデル企業 Thinking Machines は Inkling 2 Small を公開し、NVIDIA の 4 ビット浮動小数点形式で全工程を訓練したと述べ、モデルの重みは外部の安全テストの完了後に公開する計画だとした。(Thinking Machines、2026-11-05)

プロダクト動向
1. Perplexity の自社テストでは、Agent API の今回の更新で、effort を medium にした設定のスコアが、公開ベンチマークの BrowseComp と DSQA の合算で 55% から 77% に上がり、コストは九割近く下がった。

2. Google は Gemini Omni 1.2 Flash を一般提供にし、動画一本の上限は 10 秒から 15 秒に延び、720p は 1.1 Flash より 30% 安い。

過去の洞見
1. [振り返り](本紙 8 月 2 日提起、10 月 3 日判定)投資家 Bill Gurley 氏は、アナリストが八四半期続けて問うと予想した。問うのは、CoreWeave の売れ残った計算資源を NVIDIA がどこまで買い取ると約束しているかである。最初の決算説明会では誰も問わず、会社も数字を出さなかった。本紙は事前に定めた規則に従い、この説を成立と記録した。外部は、本当の需要と NVIDIA の買い取りに頼る分を切り分けられない、という説である。

そのほかに起きたこと
1. 本紙は未検証:投資家 Gavin Baker 氏の伝えるところでは、テキサス州の次期知事 Hinojosa 氏は、許可済みのデータセンターはすべて完成でき、新規案件にだけ条件を付けると述べた。発言の原文との照合はされていない(Gavin Baker、2026-11-05)。
2. 本紙は未検証:Taipei Times が情報筋の話として伝えたところでは、Micron は労働組合との争いで桃園工場の工事をほぼ止めた。桃園市政府は通知を受けていないとしている(Taipei Times、2026-11-06)。
3. 本紙は未検証:ロイターの報道を Dan Nystedt 氏が伝えたところでは、約 60 万個の H200 が香港にとどまり、中国の承認を待っている。集計の出所は不明である(Dan Nystedt、2026-11-06)。
4. 本紙は未検証:TrendForce の紹介によれば、Intel のパッケージング担当ディレクターは、小さなシリコンブリッジでチップをつなぐ EMIB のパッケージはシリコンウェハーの利用率が 90% を超え、シリコンインターポーザーの設計は約 60% だと述べた。Intel の自己申告である(TrendForce、2026-11-05)。
学術論文 530 本は、読了 165 本、除外 154 本(うち 3 本は読む前に除外)、手つかず 211 本。SNS 投稿 149 件は、読了 48 件、除外 35 件、登録のみ 3 件、手つかず 63 件。リンク展開の記事 70 本は、読了 38 本、除外 29 本、手つかず 3 本。ブログ 64 本は、読了 16 本、除外 7 本、登録のみ 3 本、手つかず 37 本、取り直し 1 本。別の取得元の論文 55 本はすべて手つかず。ニュースレター 8 本は、読了 6 本、除外 2 本。届け出書類 7 本は、読了 1 本、除外 1 本、手つかず 5 本。番組の書き起こし 2 本はどちらも読了。中核 4 の Marketplace の報道は当日に別に調べたもので、Anthropic の上場申請書修正版は 11 月 2 日に取り込んだ材料であり、どちらもこの 885 本には入っていない。昨夜取得した SNS のオリジナル投稿は 374 アカウントの 661 件だった。これは別の数え方で、上の 149 件とは直接比べられない。
一度きりの補充。 データベースには、今年 7 月 1 日から 10 月 30 日までの日付の、一度きりで補充した材料がいくつかある。上の過去 24 時間の本数とは別に数える。本号ではどれも使っていない。
本号で確認できていないこと。 判断を最も左右するのは、Anthropic の 8 月のリスク報告と責任あるスケーリング方針の原文である。中核 1 の文はすべて METR の審査報告による引用で、基準を超えたあとに具体的に何をするかは本号の材料に入っていない。Hinojosa 氏の許可済み案件についての発言の原文は、Baker 氏の投稿に動画とスクリーンショットが付いているが、内容は照合されていない。11 月 5 日の回の届け出書類の一覧は不完全で、Micron、Alphabet、Meta などの臨時報告は一覧だけが材料である。SemiAnalysis〈TPU strikes the king〉と Zvi〈AI #193〉は本号の材料に入っていない。本号にマクロ経済の段はない。
本紙が追っているソース。 長期の追跡リストには現在、発信者が特定できる追跡対象が 529 あり、SNS 302、番組 90、ニュース 51、ブログ 48、論文の著者 48、ニュースレター 46 で、残りは決算や基調講演などの経路に散らばる。同じ対象を複数の経路で追っていることがあり、経路ごとの数を足すと 529 を超える。これは追跡対象の数で、上の本数とは足し合わせられない。昨夜実際に取得したのは、374 アカウント、書き起こし 2 本の番組、ニュースレター 8 本(発行元 8 社)である。これらは、リストの SNS 302、番組の出演者 90、ニュースレター 46 とは別の名簿で、直接は比べられない。代表的な名前は、SNS では Daniel Kokotajlo、Sergey Levine、Arvind Narayanan、Chris Lattner、ブログでは Terence Tao、Lilian Weng で、番組のリストには Sam Altman、Dario Amodei、Demis Hassabis らの出演者がいる。本号の本文で使った外部ソースのリンクは 25 件で、本文で実際に引いた外部のリンクだけを数えた。この 25 件は 529 の追跡対象とは別の数である。台湾側のソースは、10 月に新たに 43 件が加わり、累計 167 件になった。台湾のメディア、台湾企業の公式発表、台湾の現地記者を数え、台湾メディアを引用した海外メディアは数えない。
訂正:11 月 4 日号の中核 1 は、Colossus 2 の拠点で現地の発電が今年 8 月から減り始めたと書いた。引用した報道が伝えているのは予定である。合意では、仮設タービンは早ければ今年 8 月に撤去を始め、2027 年 7 月までにすべて撤去する。撤去が始まったという報道は見つからず、実際にどれだけ撤去されたかは公開されている材料ではまだ確認できない。サイトの保存ページはこの文を直した。この記事の結論は変わらない。
本記事は日本語版・英語版・中国語版と同一の調査と判断にもとづいて書かれています。出典にはリンクを付け、原文書と報道を区別し、確かめられなかった点を明記しています。
本紙はニュースのまとめではありません。AI を使って分野横断で一次情報を読み、判断には原文の出典を添え、誤りは訂正ページで公表します。焦点は、どの変化がすでに起きていて、どの主張にまだ裏付けが足りないかであって、今日何が起きたかではありません。